日本口蓋裂学会雑誌
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愛知学院大学歯学部第二口腔外科学教室における口唇,口蓋裂患者の実態調査
II.昭和51年-60年度に受診した1730名の調査
夏目 長門増田 浩男三浦 茂樹本田 正則秋山 芳夫日下 雅裕大辻 清長縄 吉幸織家 茂新美 照幸斎藤 直樹酒向 誠中村 友保武藤 瞭河合 幹
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キーワード: 口唇裂, 口蓋裂, 統計, 罹患率
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1988 年 13 巻 2 号 p. 296-305

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抄録
愛知学院大学歯学部第二口腔外科学教室,口唇,口蓋裂資料解析室に保管している資料をもとに,最近10年間の当科における本症患者1730名の実態について報告を行い,以下の如き結論を得た.
1.本症患者1730名のうち,当科にて初回手術を行った者,および施行予定の者は1135名(65.6%)であった.これらの裂型分類は,男では口唇裂244名(39.1%),口唇・口蓋裂283名(45.4%),口蓋裂97名(15.5%),女では口唇裂171名(33.5%),口唇・口蓋裂179名(35.0%),口蓋裂161名(31.5%)で,我々が行った愛知県の一般集団中における口唇,口蓋裂患者の総出生数の結果と類似していた.
2.居住地域別の分類では,愛知県が1197名(s9.2%)を占めていた.このうち名古屋市は452名(26.1%),尾張部491名(28.2%),三河部254名(14.9%)であった.また,岐阜県241名(13.9%),三重県160名(9.3%),静岡県32名(1.8%),長野県15名(0.9%),その他85名(4.9%)で,愛知,岐阜,三重の3県で全体の92.4%を占めていた.
3.我々の行った一般集団中の本症出現率より推定した口唇,口蓋裂患者の総出生数より類推すると,愛知県の6割程度,岐阜県,三重県の3-5割程度が当科を受診していると推定された.
4,当科に受診している患者の年齢構成は,広く各世代にわたっていたが,特に15歳以下の子供が多く1304名で全体の75.4%を占めていた.
5.当科における初診患者の増減は,自然発生率の変化と類似していた.
6.初回手術と再形成手術の比率をみると各年代により,45.2%-60.8%は初回手術で占められていた.また,最近5年間では初回手術の比率が低下していたが,これは,再形成手術の件数が増加したためにみられた相対的な比率の低下によるものであった.
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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