日本口蓋裂学会雑誌
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鼻咽腔造影X線映画による先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症と粘膜下口蓋裂の比較
第2報 時間および運動速度の計測
黒川 正人
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1992 年 17 巻 4 号 p. 294-303

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抄録
先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症14例と粘膜下口蓋裂8例を術前の鼻咽腔造影X線映画を用い軟口蓋・咽頭側壁およびパッサーバン隆起の運動時間および運動速度を比較検討し,以下の結論を得た.
1)軟口蓋および咽頭側壁の運動開始から最高位に達するまでの時間,運動が最高位を持続している時間・運動が戻り始めてから安静に戻るまでの時間は両者間に有意の差はなかった.
2)両者ともに咽頭側壁の運動開始は軟口蓋の運動開始より約50msec遅れていた(有意差は先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症は1%,粘膜下口蓋裂は5%).
3)パッサーバン隆起の運動開始は軟口蓋よりも170msec遅れていた(有意差5%).
4)先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症と粘膜下口蓋裂ともに軟口蓋と咽頭側壁の運動が最高位に達している持続時間はばらつきが大きかった.
5)軟口蓋の運動速度は両者間で差はなく,約20mm/msecであった.
6)咽頭側壁の運動速度は粘膜下口蓋裂が先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症より有意水準5%で速かった.
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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