2017 年 55 巻 2 号 p. 6-17
本研究の目的は,移民を多く受け入れ,就学前教育改革を積極的に行ってきたドイツの保育実践から,日本の多文化共生保育のあり方を検討することである。本研究では,NRW州の教育指針の検討と少年局への聞き取り調査,及び外国人児童が在籍する5つの保育施設において観察と聞き取り調査を行い,制度と保育実践との両面から,その実態を捉えた。
その結果,就学前教育において,①公的支援の充実,②早期言語教育の実施,③外国人保育者による保育,④保育者への研修制度の充実,⑤Bildung理解に基づく保育実践が行われていることが明らかになった。これらは,日本の多文化共生保育実践にも示唆を得るものであり,それを実現化する必要があると考える。