日本口蓋裂学会雑誌
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スピーチエイドにより鼻咽腔閉鎖不全の改善をみたBeckwith-Wiedemann症候群の1例
佐藤 梨里高江洲 学小原 信藤波 宏治根岸 明秀吉増 秀實天笠 光雄壬生 美智子大山 喬史
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1999 年 24 巻 1 号 p. 88-94

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抄録
Beckwith-Wiedemann症候群(BWS)に口蓋裂が合併することは稀とされている.今回われわれは,口蓋形成術後に鼻咽腔閉鎖機能不全のみられた口蓋裂および反回神経麻痺を有する本症候群の1例について報告した.
患者は,6歳4か月の男児で,発音障害を主訴として当院に来院した.患者は,出生直後に某小児医療センターの遺伝科にて,BWSと診断された.同センターにて,口蓋形成術,舌形成術を施行したが,その後も開鼻声および気息性嗅声が認められた.そこで,発音補助装置作製を目的に当科を紹介され受診した.軟口蓋は短小で,動きはほとんどなく,また,絞掘反射が強かったため,最初はパラタルリフトを適用し,11か月後にスピーチエイドに変更した.治療後1年の時点で,鼻咽腔閉鎖機能は良好と判定された.以上,発音補助装置は何らかの理由で二次手術を行い難い鼻咽腔閉鎖不全症例に有効であることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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