日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
DRG導入に向けての唇顎口蓋裂治療費の分析
柿添 晶久後藤 昌昭小村 華子香月 武
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 26 巻 1 号 p. 125-130

詳細
抄録

欧米では医療費の適正化を図るため,出来高払い方式に代わり,診断群別包括支払い方式(DRG/PPS;Diagnosis Related Group/Prospective Payment System)が導入されており,わが国においても近い将来の導入が検討されている.そこで唇顎口蓋裂患者を対象に,医療費の分析を行い,DRG/PPSへの対応について検討した.
対象は1998年4月より1999年12月までに当科で入院加療を行った唇顎口蓋裂患者51例である.51例を治療内容別に,1)口唇形成術9例,2)口蓋形成術14例,3)顎裂部腸骨移植術18例,4)口唇鼻修正術10例に分類した.それぞれの入院費(入院料,手術・麻酔料,検査料,画像診断料)を出来高払い方式による診療報酬点数から算出した.
唇顎口蓋裂治療の中で,初回口唇形成術や口蓋形成術においては,手術料の検討を行えばDRG/PPSの導入は可能であると考えられた.
顎裂部骨移植や口唇鼻修正術では,手術方法に関する細かな分類が必要であった.
DRG/PPS導入前に,現行の診療報酬点数が妥当であるかどうかを明らかにする必要があると考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
前の記事 次の記事
feedback
Top