抄録
Furlow法によるHotz床併用二段階口蓋形成手術法を施行した症例で,軟口蓋形成術以前の早期から定期的に言語管理が可能であった4歳児37例(F4群),5歳児33例(F5群)を対象に,鼻咽腔閉鎖機能,正常構音の獲得過程および異常構音の種類について調査した.さらに,Furlow法による言語機能獲得過程の特徴を調査する目的で,Widmaier変法により軟口蓋形成術を行った症例(W群)と比較し,以下の結果を得た.
1.鼻咽腔閉鎖機能は,4歳時,5歳時ともにF群においてW群より高率に,かつより早期に獲i得されていた.
2.一方,正常構音の獲得は,F群では異常構音が発現せず正常構音を獲得する症例が多く,異常構音が出現した場合でも自然消失する症例が多かった.
3・また,F群では4歳時,5歳時とも異常構音と診断される構音の数がW群より少なく,会話明瞭度についても,より明瞭であると思われた.以上より,4歳時,5歳時の鼻咽腔閉鎖機能と構音は,W群よりもF群の方が良好であると考えられた.