日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
口蓋皺襞を基準とした片側性唇顎口蓋裂児の上顎歯列弓変化の三次元評価
口唇形成術から口蓋形成術まで
本田 康生鈴木 陽笹栗 正明中村 典史大石 正道
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 29 巻 1 号 p. 8-15

詳細
抄録

完全片側性唇顎口蓋裂児における口唇形成術に伴う歯列弓形態の三次元的成長変化の解析を行った.資料は九州大学歯学部附属病院にて口唇裂と口蓋裂の形成手術を受けた片側性唇顎口蓋裂児31名の口唇形成術時と口蓋形成術時に採得した上顎歯列弓模型である.三次元形状入力装置で歯列弓模型の形状を読み取り,口蓋皺襞を基準として同一患者の歯列弓模型の重ね合わせを行い計測点の変化を調べた.その結果,上顎歯列弓各部位における三次元的変化が以下のごとく明らかになった.
1.上顎結節部は外側(頬側),後方,また下方(口腔側)へ成長する
2.乳切歯部は後方かつ下方へ成長する
3.乳犬歯部は内側(裂側)および前下方へ成長するまた,各計側点の空間移動距離の大きさは上顎結節部>歯槽弓前方部>乳犬歯部の順であり,上顎結節部の成長変化量が最も大きかった.以上より,口蓋皺襞を用いた重ね合わせによって,口唇形成術後の上顎歯列弓の各部位における三次元的変化の詳細が明らかになった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
前の記事 次の記事
feedback
Top