抄録
鼻咽腔閉鎖機能不全を認める22qll.2症候群症例に対して咽頭弁形成術を行い,手術前後の鼻咽腔閉鎖機能,構音,改善に要した期間について非症候群症例と比較検討し,以下の結果を得た.
1.22群は全例,IQ75以下の知的障害を示していた.
2.術前の構音状態については,両群に有意差は認められなかった.
3.術後のブローイング時呼気鼻漏出消失までの期間について,22群は症例によるバラツキがみられたが,平均値には有意な差は認められなかった.
4.術後の母音発声時呼気鼻漏出消失までの期問について,22群が非22群に比べて有意に長期間を要した.
5.術後の構音について,会話レベルまで改善したものは22群47%,非22群92%でX2検定により有意差が認められた.また手術で会話まで自然改善した症例は,22群で18%だったのに対し,非22群では62%であった.
これらのことから,本症候群に対する咽頭弁形成術は,構音の改善に一定の効果を持ちうるが,会話における改善には症例によって差があることが示唆された.