日本口蓋裂学会雑誌
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Hotz床併用二段階口蓋形成法の長期予後
片側症例の成長終了時側面頭部エックス線規格写真による評価
高木 律男福田 純一小野 和宏飯田 明彦朝日藤 寿一寺田 員人齋藤 功
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2006 年 31 巻 3 号 p. 245-252

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抄録

口唇口蓋裂では,口蓋部の裂による鼻咽腔閉鎖機能不全のため吸畷障害,嚥下障害および言語障害が生じる.さらに,口蓋形成手術の実施時期および方法・手技いかんにより,上顎の発育障害,咬合不全が生じる可能性がある.口蓋形成術の目的は,これらの障害の改善および予防であり,手術法,手術時期の決定にあたっては,手術後の短期的な成否ばかりでなく長期的に生じる二次的障害をいかに回避するかについても考慮する必要がある.したがって,これらの目的が達成されたか否かについては,長期にわたり各年代における評価と適切な管理体制が必要である.
そこで,今回私達は当院において実施している管理体制による上顎部の前後的および上下的成長への影響を評価することを目的に,成長がほぼ終了した56症例(以下TS群)を対象に側面頭部エックス線規格写真を用い骨形態の評価をおこなった.評価には,正常成人の基準値(飯塚・石川)との比較を用いるとともに,当科で本管理体制を採用するまでの1974年から1982年に行った一段階口蓋形成症例のうち資料の整った15例(以下PB群)を比較対照症例として用いた.その結果,TS群は正常成人に比較して若干の発育抑制が認められた.しかし,PB群に比較して上顎の前方への成長および上顎後縁の下方への成長の抑制は有意に軽度であった.

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