日本口蓋裂学会雑誌
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上下顎同時骨延長を行った両側性口唇口蓋裂の1例
代田 達夫宮崎 芳和歌門 美枝鈴木 規子新谷 悟愼 宏太郎中村 篤三次 正春
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2006 年 31 巻 3 号 p. 319-328

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抄録
上顎に著しい劣成長を来した口唇口蓋裂では,軟口蓋部に形成された瘢痕組織によって上顎の前方移動が制限を受ける.そこで従来の骨切り術に代わる有効な治療法として,上顎に対する骨延長術が適用されつつある.今回われわれは上下顎の劣成長を伴った両側性口唇口蓋裂に対し,上下顎同時骨延長術を行い良好な結果が得られたので報告する.
上顎に対してはLe Fort 1型骨切り術を行ってREDシステム骨延長装置を装着した.一方下顎骨に対しては,左側は下顎骨体部骨切り術,右側は下顎枝矢状分割術を行い,左側のみに創内型下顎骨延長器を装着した.術後3日目より1日あたり1-2mmの速度で上顎の骨延長を行い約15mmの骨延長を行った.次いで顎間固定を行った後,下顎左側近位骨片を後方に向けて1日1mmの速度で約10mm骨延長した.
その結果,中顔面の陥凹感は改善され,ほぼ適正な上下顎の被蓋関係が獲得された.また,上顎の前方移動による鼻咽腔閉鎖機能に対する影響も軽微であった.
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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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