抄録
Mobius症候群は,両側性顔面神経麻輝を来す先天性疾患であるが,障害部位やその程度により様々な症状を合併することがある.今回我々は,39歳女性のMobius症候群に伴う先天性鼻咽腔閉鎖機i能不全症を経験し,同症例にlateral pharyngoplastyを施行した.術後7カ月現在,ファイバーで軟口蓋挙上が確認され,発語は術前に比し明瞭化している.
本法は,耳管咽頭筋を用いた咽頭形成術であU,得られる効果として1)解剖学的構造の改善,2)機能的改善が挙げられる.通常,耳管咽頭筋が完全麻痺の場合は後者を望めないことが多い.しかし本症例の場合,slingを形成した粘膜筋肉弁の筋収縮運動がみられた.これは弱いながらも同筋の機能が残存していたためと推測される.本法は解剖学的構造の改善のみならず,耳管咽頭筋の機能が残存していると思われる症例では,機能的な改善も図ることができる,有用な方法であると考えられる.