日本口蓋裂学会雑誌
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咬合状態が片側性唇顎口蓋裂児の顎態に及ぼす影響
Goslon Yardstickを用いた検討
石川 拓新垣 敬一天願 俊泉仲間 錠嗣砂川 元
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2008 年 33 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

本研究は,片側性唇顎口蓋裂児の混合歯列期における咬合状態について調べ,Goslon Yardstickによる咬合評価が頭蓋顎顔面形態の良否との関連性について検討を行った.対象は,当科にて一貫治療を行っている片側性唇顎口蓋裂児のうち,混合歯列前期に相当する21名である.これら21名の歯列弓石膏模型と側方頭部X線規格写真を用いた.方法は,21症例をGoslon Yardstickを用いた咬合評価を行ない,咬合良好群と咬合不良群に分けた.また角度分析11項目と距離計測11項目のセファロ分析を行った.結果角度分析では咬合良好群の∠SNA,∠ANBが咬合不良群に比べ有意に大きな値を示した.距離計測においては,咬合良好群のAr-AとS-Nが有意に咬合不良群に比べ大きな値を示した.Ar-GoとN-Goにおいては咬合不良群が咬合良好群に比して有意に小さい値であった.今回の研究から,上下顎が調和した良好な咬合を獲得することが,口唇口蓋裂児の中顔面形態に影響をおよぼす一因であることが示唆された.

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