日本口蓋裂学会雑誌
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軟口蓋運動に対する舌位の影響
浜村 康司西尾 順太郎松矢 篤三井上 一男伊吹 薫後藤 友信古郷 幹彦宮崎 正
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1982 年 7 巻 1 号 p. 21-28

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抄録

軟口蓋運動に対する舌位の影響を解明するため, イヌを用いて舌咽神経咽頭枝の求心性神経を電気刺激することにより軟口蓋運動を誘発した.この誘発された軟口蓋運動に対して舌の前方突山(protrusion)と後退(retraction)がどの様な影響を与えるかを口蓋帆挙筋の筋電図活動を指標として究明した.
1)舌II因神経咽頭枝の求心性神経を刺激することにより, 軟口蓋運動の主たる役割を果たしている口蓋帆挙筋より潜時が16~28msecで最大振幅が80~360μVである反射性筋電図活動を認めた.この刺激によって生じた軟口蓋運動は, 嚥下動作時にみられる一連の顎運動や喉頭運動を伴うものではなかった.
2)舌運動を司どっている舌下神経への刺激を舌咽神経咽頭枝への刺激より100~200msec先行させると, 口蓋帆挙筋の誘発筋電図活動は著明に抑制された.しかし, 舌下神経を切断しその中枢端を刺激しても抑制効果を認めなかった.
3)切断した舌下神経の末梢においてprotrusionnerveとretractornerveに分けると, protrusionn.を先行刺激とした場合には抑制効果を認めたもののretractorn.を先行刺激とした場合には抑制効果は認められなかった.
4)protrusionn.を先行刺激として認められた抑制効果は舌神経を切断すると消失した.

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