日本口蓋裂学会雑誌
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口唇、口蓋裂児を持つ母親の意識
特に一般人意識との相異について
夏目 長門松本 清人小林 正典服部 吉幸青木 邦夫鍋谷 秀信佐藤 武男冨武 司鈴木 俊夫河合 幹
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1982 年 7 巻 1 号 p. 85-92

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抄録

口唇, 口蓋裂児の親の本疾患に対する認識, 心理に対する調査研究を行い, 前回我々が調査した一般地域社会の認識と比較検討した.調査結果より, 次のことが明らかとなった.
1.本調査より, 出生前の母親(調査群)と, 一般地域社会の人々(対照群)とは, 異なった集団ではないと考えられた.
2.地域社会における人々の態度は, 比較的無関心であった.
3.調査結果より, 口唇, 口蓋裂の原因について, 調査群では環境因子を重視するものが多いが, 対照群では遺伝を重視するものが多かった.
4.本症の予後については, 両者では明らかに異なっていた.つまり地域社会の人々は, この問題にっいて患児の母親に比して客観的に考えていた.
5.社会生活への影響については, 結婚に対する不利を強く訴えていた.
6.治療機関としては, 口腔外科を挙げるものが最も多かった.(これは名占屋地区における特殊事項と考えられる.)
7.健康保険の適応の問題については, 多くの人々が未知であり, 今後の医療行政機関の広報活動が望まれる.
8.医療機関, 行政への希望記入欄では, 治療機関の充実, 医療費公費負担, 原因追求のための研究などが挙げられている.

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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