日本口蓋裂学会雑誌
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口唇裂口蓋裂の臨床的研究第2報,過去8年間の統計的観察
山城 正宏儀間 裕本村 和弥金城 孝仲宗根 康雄藤井 信男
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1984 年 9 巻 1 号 p. 48-55

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抄録

昭和48年9月より昭和56年8月までの8年間に,琉球大学医学部附属病院歯科口腔外科(沖縄県)で,一次形成手術を行なった口唇裂口蓋裂患者222名について臨床統計的観察を行なった.
性別では男性137名,女性85名で,その比は1.6:1であった.
裂型別分類では,唇(顎)裂68名(30.6%),唇(顎)口蓋裂113名(50.9%),口蓋裂41名(18.5%)であった.また,口唇裂を伴った181名の破裂側をみると,片側性128名,両側性53名で,その比は2.4:1であった.左右差では,左側89名,右側39名で,その比は2.3:1であった.
出生時体重で,2500g以下の低体重児が11.2%みられた.出生順位は第1子,第2子,第3子,第4子の順で多く,母親年齢では,25-29歳(36.3%),20-24歳(23.6%),30-34歳(18.4%),35-39歳(13.7%),40歳以上(5.7%)の順であった.
209家系中,多発家系は49家系で,家系発現率は23.4%であった.家族性発現を親と同胞に限って9家系についてみると,唇(顎)裂の発端者2名に同じ裂型1名と唇(顎)口蓋裂1名,唇(顎)口蓋裂の発端者6名に,同じ裂型の3名と唇(顎)裂3名,口蓋裂の発端者1名に同じ裂型2名がみられた.今回の調査期間で両親健康な場合の同胞発現は,唇(顎)口蓋裂と口蓋裂の発端者に各1名みられた.片親発現は8家系であったが,今回これら同胞発現は認められなかった.

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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