臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
乳癌をともなった深部脳静脈血栓症の1例
宗田 高穂枝川 光太朗辻 潔出原 誠中島 義和伊藤 守
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 48 巻 9 号 p. 646-650

詳細
抄録

症例は69歳女性である.約20年前に乳房のしこりに気付いたが放置していた.意識障害のため救急外来を受診し,血液検査で血液凝固亢進状態と,頭部CTで両側視床の低吸収域と深部脳静脈の部位に高吸収域が示された.脳血管造影をおこない,深部脳静脈血栓症と診断した.ヘパリン持続点滴による抗凝固療法をおこない,意識状態は徐々に改善した.乳房のしこりは生検により粘液癌と診断された.悪性腫瘍から血液凝固亢進状態となり,深部脳静脈血栓症を発症したものと考えられた.悪性腫瘍に深部脳静脈血栓症を合併することはきわめてまれであるが,特徴的な頭部CTの所見から早期の診断,治療に結びつけることができた.

著者関連情報
© 2008 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top