階段状に進行した中大脳動脈領域の心原性脳塞栓症2例を報告した.急性期の頭部MRAまたはCTAでは中大脳動脈にアテローム硬化性病変がうたがわれた.TOAST分類による急性期の病型診断では,症例1は心房細動をみとめたが診断不定であった.症例2はアテローム血栓性脳梗塞に分類された.後日MRAを再検したところ,2例とも中大脳動脈は再開通しており,心疾患の存在も確認され,最終的に心原性脳塞栓症と診断された.心原性脳塞栓症では,階段状に進行することがあり,急性期MRAでアテローム血栓性脳梗塞との鑑別が困難なときは,塞栓源の検索と伴にMRAをfollow-upして再開通を確認する必要がある.