多系統萎縮症(MSA)患者28例において,栄養障害の状況を把握するために体格指数(BMI),上腕三頭筋周囲長(%AMC),上腕三頭筋皮脂厚(%TSF)を測定した.また10年以上の長期生存MSA患者13例の栄養状態の推移を後方視的に検討した.BMIと%AMCは経管栄養導入後の患者で有意に低下していたが,%TSFは逆に増加している症例がみとめられた.後方視的検討では,呼吸不全や嚥下障害出現時には栄養障害がいちじるしく,逆に気管切開・胃瘻造設後には低カロリー下でも皮下脂肪の蓄積傾向を示した.呼吸不全・嚥下障害出現前後ではより早期の経管栄養導入が望ましいが,進行期には体脂肪蓄積を回避する必要がある.