2011 年 51 巻 1 号 p. 32-34
意識消失発作をくりかえす全身型重症筋無力症の51歳男性例を経験した.ホルター心電図で洞不全症候群をみとめ,意識消失の原因はAdam-Stokes発作と診断した.胸腺腫摘除術および免疫療法後におこなったホルター心電図では,洞停止はなく不整脈は消失しており,本症例における心伝導障害が免疫療法に反応した可能性が示唆された.重症筋無力症患者でまれに心筋炎などの心疾患を合併することが知られているが,近年,筋炎や心筋炎をともなう重症筋無力症で抗kv1.4抗体が高率に検出されるとの報告がある.本例は臨床経過に加えて,抗kv1.4抗体が陽性であったことから,免疫異常による心疾患を合併した可能性が示唆された.