2011 年 51 巻 5 号 p. 334-337
症例は47歳男性である.33歳時に慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)と診断され,免疫療法にて症状は安定していた.47歳時に後天性von Willebrand症候群(AvWS),大腸癌,M蛋白血症を指摘された.出血傾向に対し第VIII因子補充は無効だったが免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)が著効し,腫瘍切除された.術後にCIDPの増悪,出血時間延長,von Willebrand因子活性低下をみとめ,M蛋白血症をともなったCIDPとAvWSの再燃と診断.IVIgにて神経症状と出血時間の改善がみられた.本例のようなCIDPではAvWSと共通の自己免疫病態が存在している可能性がある.