2011 年 51 巻 5 号 p. 345-349
症例は61歳女性である.1年の経過で四肢遠位優位の感覚障害が進行した.血液検査でIgM-M蛋白血症と,抗myelin associated glycoprotein(MAG)抗体をみとめた.神経伝導検査では遠位潜時延長を中心とする伝導遅延があり,腓腹神経の免疫染色で髄鞘にIgMの沈着をみとめ抗MAG抗体関連ニューロパチーと診断した.大量免疫グロブリン療法は無効で症状は進行したため,rituximabを投与し感覚障害は改善した.本邦における同疾患へのrituximab治療の詳細な報告はないが,自己免疫性ニューロパチーにもちいられてきた免疫グロブリンなどの従来療法より有効である可能性が示唆された.