臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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原著
パンデミック(H1N1)2009インフルエンザ脳症の1剖検例
山田 晋一郎安井 敬三長谷川 康博都築 豊徳吉田 眞理橋詰 良夫
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2012 年 52 巻 7 号 p. 480-485

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抄録

症例は16歳男性である.発熱,意識障害,痙攣で発症し,CTでびまん性脳浮腫,PCR検査でパンデミック(H1N1)2009インフルエンザがみとめられた.オセルタミビル投与,γグロブリン大量療法,ステロイドパルス療法をおこなったが,DIC,多臓器不全を合併し死亡した.剖検では脳浮腫がみられた.髄膜,脳実質には炎症性細胞浸潤はなく,アストロサイトの突起破壊を示唆するclasmatodendrosisがみとめられ,急性脳症の所見を示した.本症例は,パンデミック(H1N1)2009インフルエンザ脳症のはじめての剖検例である.臨床,検査,病理所見ともに,従来の季節性インフルエンザ脳症と同様であった.

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© 2012 日本神経学会
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