臨床神経学
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52 巻, 7 号
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総説
  • 安藤 哲朗
    2012 年52 巻7 号 p. 469-479
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    頸椎症は50歳以上の人では高頻度であり,神経根症と脊髄症をおこす.放射線画像上の頸椎症性変化は無症候性のことも多いので,神経症候が頸椎症からおこっているのか,それとも他の神経疾患からおこっているのかを評価する必要がある.誤診を防ぐためには画像上の病変の高位と神経症候とを対比することが重要である.とくに頸椎症と筋萎縮性側索硬化症の鑑別診断は臨床上重要な問題である.頸椎症患者の経過や予後は様々なので,予測はかなり困難である.多くの患者は比較的良好な経過をとる.
原著
  • 山田 晋一郎, 安井 敬三, 長谷川 康博, 都築 豊徳, 吉田 眞理, 橋詰 良夫
    2012 年52 巻7 号 p. 480-485
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    症例は16歳男性である.発熱,意識障害,痙攣で発症し,CTでびまん性脳浮腫,PCR検査でパンデミック(H1N1)2009インフルエンザがみとめられた.オセルタミビル投与,γグロブリン大量療法,ステロイドパルス療法をおこなったが,DIC,多臓器不全を合併し死亡した.剖検では脳浮腫がみられた.髄膜,脳実質には炎症性細胞浸潤はなく,アストロサイトの突起破壊を示唆するclasmatodendrosisがみとめられ,急性脳症の所見を示した.本症例は,パンデミック(H1N1)2009インフルエンザ脳症のはじめての剖検例である.臨床,検査,病理所見ともに,従来の季節性インフルエンザ脳症と同様であった.
症例報告
  • 渡邉 充, 里井 斉, 高橋 由紀, 西田 南海子, 戸田 弘紀, 松本 禎之
    2012 年52 巻7 号 p. 486-490
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    症例は55歳男性である.易怒性と進行性の認知障害で発症した.発症半年後の神経学的所見ではMini-Mental State Examination(MMSE)18点,不明瞭言語,体幹失調をみとめた.脳MRIにて両側大脳白質,中小脳脚,脳幹にびまん性のFLAIR高信号病変をみとめた.左側頭葉内側病変の生検病理診断は,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫であった.病理所見,臨床像,脳MRI所見をあわせ,Lymphomatosis cerebri(LC)と診断し,副腎皮質ステロイドと大量メトトレキサート療法,放射線治療をおこない,寛解をえた.治療により寛解がえられたLCはまれであり,貴重な症例と考え報告する.
  • 本郷 悠, 尾上 祐行, 竹島 慎一, 鎌倉 惠子, 海田 賢一
    2012 年52 巻7 号 p. 491-494
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/27
    ジャーナル フリー
    症例は67歳男性である.60歳時にANCA関連血管炎・Sjögren症候群(SjS)を発症後,上肢の感覚性運動失調が出現した.受診時,両上肢の感覚性運動失調をみとめるが下肢の深部感覚は保たれていた.軽度の大球性高色素性貧血があり頸髄MRIで楔状束に限局した病変をみとめた.血清ビタミンB12,葉酸,血漿メチルマロン酸,血清/尿中ホモシステインは正常範囲内で,ビタミンB12筋注も無効だった.本例の深部感覚障害はSjSによる後根神経節障害が原因でありMRI所見は楔状束線維のWaller変性を反映したものと考えた.SjS関連脊髄病変は通常薄束を主体とするが,楔状束に限局した病変を示すばあいもありうる.
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