臨床神経学
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症例報告
Corticobasal syndromeを呈した若年性アルツハイマー病の1剖検例
藤井 直樹若宮 富浩渡邉 暁博古谷 博和佐々木 健介岩城 徹
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2013 年 53 巻 10 号 p. 814-820

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抄録

症例は51歳男性である.ものわすれで発症.右優位の上肢の巧緻運動障害が進行性に増悪した.MRI画像上,左側優位の側頭・頭頂葉萎縮をみとめた.その後,失行,右側優位のパーキンソン徴候が顕在化し,認知症とともに増悪し,失外套状態となり,59歳誤嚥性肺炎で死亡.剖検をおこない,左優位に大脳が萎縮.大脳皮質全体に老人斑が高頻度にみられ,多くのcotton wool plaqueもみとめた.免疫染色で抗リン酸化タウ抗体陽性の神経原線維変化を多数みとめた.タウ陽性構造物はRD3抗体とRD4抗体の両方で陽性.グリアのタウオパチーの所見に乏しく,脳幹は大脳皮質よりもタウ病変が軽度であり,病理学的にアルツハイマー病と確定診断された.

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© 2013 日本神経学会
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