臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
症例報告
重度の嗅覚障害と多発神経根障害を合併した神経サルコイ ドーシスの1例
岡村 穏鈴木 圭輔国分 則人永島 隆秀中村 利生平田 幸一
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 53 巻 10 号 p. 821-826

詳細
抄録

症例は50歳女性である.胸下部の絞扼感,右前腕尺側の異常感覚と右大腿の感覚低下が出現し,約1ヵ月後より嗅覚低下を自覚した.鼻粘膜所見は正常であり,嗅覚検査結果より,嗅粘膜より中枢の嗅覚障害が示唆された.頸・胸・腰髄領域の髄節性感覚障害は臨床的・電気生理学的に多発神経根障害と考えられた.頭部,脊髄MRIでは異常はなかった.髄液検査では単核球優位の細胞増多をみとめた.血清ACE値の上昇,胸部CT上肺門リンパ節腫大,非乾酪性肉芽腫の組織診断をえて,サルコイドーシスと診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法により,嗅覚障害,感覚障害は改善した.嗅覚障害の鑑別として神経サルコイドーシスを念頭に置く必要がある.

著者関連情報
© 2013 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top