臨床神経学
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1 病態仮説に基づくアルツハイマー病治療法開発の現状と展望
タウを標的とした認知症治療の現状と展望
高島 明彦
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2013 年 53 巻 11 号 p. 1040-1042

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抄録

βアミロイド沈着はアルツハイマー病に特異性のある病理像であるが神経原線維変化は認知症を呈した患者で多くみられる病理像である.神経原線維変化は青斑核,嗅内野に最初に出現し大脳辺縁系,新皮質へと拡大する.この分布の拡大は記憶障害から認知症にいたるアルツハイマー病の臨床症状の進行を良く説明する.神経原線維変化はタウ線維で構成されており,タウ線維が形成されるまでに可溶性タウオリゴマー,顆粒状タウオリゴマーを形成する.これらはそれぞれシナプス消失,神経脱落と関与することから,タウ凝集阻害剤による病態進行抑制が期待される.

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© 2013 日本神経学会
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