臨床神経学
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11 GBS/CIDPをめぐる最新の話題
Fisher症候群とBickerstaff型脳幹脳炎
桑原 聡
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2013 年 53 巻 11 号 p. 1319-1321

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抄録
Fisher症候群は1956年にCharles Miller Fisherにより「外眼筋麻痺,運動失調,腱反射消失を三徴とする疾患」として末梢神経病変を推定して報告され,Guillain-Barré症候群類縁疾患として位置付けられて現在にいたっている.Bickerstaff型脳幹脳炎は,1951年にBickerstaffとCloarkにより「意識障害,外眼筋麻痺,運動失調を中核症状とする中枢神経疾患」として報告された.1980年代にこの二疾患の異同に関する論争があったが,1990年代に入り血清抗GQ1b抗体が両疾患でともに陽性となることが報告され,共通の病態が存在することが明らかになった.その後の症例集積の結果から,Bickerstaff型脳幹脳炎における外眼筋麻痺・運動失調は末梢神経病変によると考えられており,この疾患を「中枢神経障害を合併したFisher 症候群の亜型」としてとらえる考え方が優勢となっている.
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© 2013 日本神経学会
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