臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
16 パーキンソン病(PD)の自律神経障害~全身とのクロストーク
パーキンソン病と消化管運動機能障害(L-DOPA血中濃度との関連性)
土井 啓員榊原 隆次岸 雅彦露崎 洋平舘野 冬樹平井 成和
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 53 巻 11 号 p. 1382-1385

詳細
抄録

パーキンソン病(PD)において消化管運動機能障害は高頻度でみられる自律神経系の合併症である.とくに胃排出能低下は,小腸上部へのL-ドパの到達を遅らせる可能性があり,薬物治療管理の視点から重要である.実際胃排出能低下がみられるPD患者では,L-ドパの血中濃度の立ち上がりが遅くなる割合が有意に高い.L-ドパの吸収遅延は薬効の発現に影響し,wearing-off,delayed-onを惹起する要因の一つといえる.六君子湯などの消化管運動機能改善薬は胃排出能の改善に有用である.経腸的L-ドパ持続投与法も進行期PD患者のL-ドパの血中濃度を安定させる選択肢として期待されている.

著者関連情報
© 2013 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top