2013 年 53 巻 11 号 p. 1396-1398
気管切開・人工呼吸器(TPPV)下にある筋萎縮性側索硬化症患者76例において,意思伝達障害の進行に関する予測因子を検討した.意思伝達可能(stage I),困難(stage II~IV),不能(stage V)の3群間においてTPPV装着まで期間,経管栄養まで期間,完全四肢麻痺までの期間で有意差がみとめられた.予後予測因子として,stage IIへの進展因子は,発症後2 年以前の呼吸器装着と完全四肢麻痺,stage Vへの進展因子は発症後2年以前の眼球運動障害出現が検出された.したがって,呼吸器装着,完全四肢麻痺までの進行速度が速いこと,また眼球運動出現までの速度が速いことが,意思伝達障害を予測する因子となりうる.