2013 年 53 巻 3 号 p. 205-211
症例は62歳男性である.8年前より歩行時のふらつきが出現.弟は20歳代から四肢脱力が出現し,46歳時に死亡.入院時眼球運動障害,構音障害,四肢の筋力低下,下肢の位置覚低下をみとめた.血液,髄液中の乳酸,ピルビン酸が高値であった.筋生検で群集萎縮と赤色ぼろ線維を,神経生検で大径有髄線維優位の軸索消失,たまねぎ形成をみとめた.ミトコンドリアDNA検査にて多重欠失をみとめ,sensory ataxic neuropathy, dysarthria, and ophthalmoparesis(SANDO)と診断した.本邦でSANDOの臨床像でミトコンドリアDNAの欠失が示された報告はなく貴重な症例と考えられた.