2013 年 53 巻 3 号 p. 196-204
遺伝性神経筋疾患の発症前診断の現状を明らかにするため,発症前診断を希望し当院を受診した73名(家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)30名,ハンチントン病16名,脊髄小脳変性症14名,筋強直性ジストロフィー9名,家族性筋萎縮性側索硬化症3名,アルツハイマー病1名)を解析した.発症前診断を受けたのは,FAPでは73%,根本的治療法がないその他の疾患では42%であり,カウンセリングを介してクライエントの心境や考え方が変化したと考えられた.発症前診断に関する相談は遺伝カウンセリング外来受診の契機になっていることが多く,発症前診断に対応できる遺伝カウンセリング体制の整備が重要と考えられた.