2013 年 53 巻 4 号 p. 299-303
症例は69歳女性である.上気道感染後に複視,ふらつきが出現した.神経学的には両側内眼筋外眼筋麻痺,四肢体幹失調,四肢腱反射低下の他,頸上腕部筋力低下をみとめた.血液検査にて低Na血症をみとめた.Fisher症候群(FS)と咽頭・頸部・上腕型Guillain-Barré症候群とが合併し,抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)をともなった症例と診断した.免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)をおこなうも眼筋麻痺や頸上腕部筋力低下に対して効果が乏しく,ステロイドパルス療法にてすみやかに改善した.本例はFSにSIADHが合併した点が特徴的である.FSの病状が遷延する例では,IVIgとステロイドとの併用療法を選択してもよいと考える.