抄録
症例は60歳の男性である.発熱と意識障害にて受診し,髄膜刺激徴候をみとめた.髄液検査で軽度の細胞数増多と蛋白上昇をみとめたが,低Na血症,肝機能障害,CKの上昇の血液検査所見と尿中レジオネラ抗原陽性でありレジオネラ感染症と診断し,抗生剤投与を開始した.胸部CTで左下葉背側に浸潤影をみとめ,肺胞洗浄液からレジオネラ菌が検出されたが,髄液のレジオネラ菌培養,PCR法は陰性であった.以上からレジオネラ菌感染にともなう中枢神経症状の原因として同菌の直接浸潤の可能性は低く,髄液IgG indexが高値であり免疫学的機序の関与が考えられた.レジオネラ肺炎でも髄膜脳炎様症状を呈することがあり,注意を要する.