抄録
症例は40歳の男性である.2型糖尿病に対し,インスリン療法中であったが,コントロールは不良であった.左片麻痺を発症し,頭部MRIにて右中大脳動脈領域の新鮮脳梗塞と頸動脈エコーにて右内頸動脈の高度狭窄をみとめた.アテローム血栓性脳梗塞と診断し加療を開始したが,内頸動脈狭窄病変の進行と症状の増悪をみとめた.入院後の精査にて,1型糖尿病,バセドウ病,抗リン脂質抗体症候群を有する多腺性自己免疫症候群を合併した脳梗塞であることが明らかとなった.内頸動脈病変の進行には自己免疫反応の関与が考えられた.多腺性自己免疫症候群を合併した脳梗塞は過去に報告がない.また進行性脳梗塞の原因と考えられることから鑑別が必要である.