2013 年 53 巻 9 号 p. 728-731
症例は34歳女性である.βサラセミアヘテロ型と網膜色素変性症を合併し,9歳頃から頭痛発作を有し,頻回に消炎鎮痛剤を使用していた.その経過中に左眼周囲の間欠的な頭痛が出現したため受診した.薬物乱用頭痛の加療の後,背景の頭痛は,前兆のない片頭痛および,頭部自律神経症状をともなう短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNA)と診断した.片頭痛にはトリプタン製剤が有効だったが,SUNAには無効で,トピラマートが奏功した.頭痛ダイアリーは記載方法を工夫する事で,2種の頭痛の経過と治療効果判定に有効だった.SUNAは片頭痛と薬物乱用頭痛が併存する可能性があり,診断・治療の上からも注意が必要である.