臨床神経学
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症例報告
T細胞型悪性リンパ腫を併発した神経ボレリア症の1例
永田 龍世稲森 由恵髙田 良治池田 賢一渡邊 修髙嶋 博
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2014 年 54 巻 2 号 p. 146-150

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抄録

症例は80歳男性である.両側性末梢性顔面神経麻痺,四肢筋力低下,四肢末梢・会陰部の感覚障害,尿閉,便秘,四肢腱反射消失をみとめた.バゾプレシン分泌過剰症(syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion; SIADH),脳脊髄液細胞増多・蛋白上昇をみとめ,セフトリアキソンおよびステロイドパルス治療にて神経症状はすみやかに改善した.脳脊髄液CXCL-13上昇,血清抗ボレリアIgM抗体陽性より神経ボレリア症と診断した.経過中,SIADHの再燃と全身状態の悪化をみとめ,骨髄検査でT細胞型悪性リンパ腫が判明した.近年,ボレリア感染とリンパ腫の関連が報告されており,本例においてもボレリア感染がリンパ腫の発症機序に関連した可能性が考えられた.

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© 2014 日本神経学会
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