臨床神経学
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短報
発症時のカルボキシヘモグロビンが正常であったが頭部MR spectroscopy所見が診断の契機となった間歇型一酸化炭素中毒の1例
神澤 朋子井川 正道濱野 忠則永田 美和子木村 浩彦米田 誠
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2014 年 54 巻 3 号 p. 234-237

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抄録

症例は67歳男性である.独居であった.冬に急性に発症した意識障害にて入院した.意識障害の進行とともに,頭部MRIで両側大脳白質にびまん性に拡大するT2高信号病変がみとめられた.来院時の動脈血カルボキシヘモグロビン(carboxyhemoglobin; COHb)は正常であった.白質病変における1H-MR spectroscopy(MRS)にて,脱髄,嫌気性代謝亢進,神経細胞減少といった,一酸化炭素(CO)中毒による遅発性脳症に特徴的な所見がみとめられた.家族への詳細な問診によって発症2週間前の練炭使用歴がえられたため,間歇型CO中毒の診断にいたった.発症時のCOHbは正常であったが,特徴的なMRS所見が間歇型CO中毒の診断の契機となった.

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© 2014 日本神経学会
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