肩手症候群の病因は未だ不明である.われわれは無髄神経障害が肩甲下筋前面にあるとの仮説を立て,脳卒中亜急性期片麻痺75例を手の浮腫や痛覚過敏の有無で3群に分け,示指指尖皮膚温を室温22.2~25.6°Cか25.7~30°Cで測定した.浮腫なし群は23例.浮腫・痛み群20例では,患側皮膚温が健側より高く,温暖条件で差が小さく,75%で病変が内包・被殻・大脳白質と広い.内包,被殻病変の麻痺側上肢皮膚温は対側より低いと報告があり,指の高値は末梢神経障害を示唆する.浮腫群32例に温度差はない.浮腫群は後神経束の無髄神経遮断のみで軽症,浮腫・痛み群は後・外側神経束の無髄神経遮断と神経性炎症で重症の可能性がある.