臨床神経学
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症例報告
ローマ字読み書き障害によりキーボード入力障害を生じた脳梗塞の1例
鈴木 由希子稲富 雄一郎米原 敏郎平野 照之
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2015 年 55 巻 1 号 p. 8-12

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抄録
症例は77歳の女性である.パソコンのキーボード入力操作においてタッチタイピング(ブラインドタッチ)を獲得していたが,左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症した.右前頭葉には陳旧性脳梗塞をみとめた.軽度の右麻痺,喚語困難,仮名・漢字・アルファベット1文字の読み書き障害は急速に改善したが,キーボード入力が困難になった.失行や視知覚障害はなく,ローマ字の読み書き障害をみとめた.アルファベットをみて確認しながらであればキーボード入力ができるまで改善したが,タッチタイピングは再獲得できなかった.本例のキーボード入力操作に選択的な行為障害には,ローマ字の読み書き障害がもっとも影響していると考えた.
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© 2015 日本神経学会
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