2015 年 55 巻 10 号 p. 728-731
41歳女性,右利き.頭痛,発熱の2週間後に,異常行動が出現した.抗グルタミン酸受容体抗体が陽性であり,抗グルタミン酸受容体抗体関連脳症と診断した.ステロイドの投与で改善し,第72病日にほぼ後遺症なく退院した.第100病日頃より純粋失読,第200病日頃よりforeign accent syndrome(FAS)様の言語障害が出現した.FDG-PETでは純粋失読の時期には両後頭葉,FASの時期には左前頭葉で集積が低下していた.FASの病巣は報告により異なり経過中に改善する症例が多い.FASは特定の病巣部位による局所症状というよりは言語処理過程のアンバランスから生じる一時的な現象の可能性がある.