2015 年 55 巻 2 号 p. 111-114
症例は1型糖尿病と診断されている62歳の女性である.発熱後,亜急性に両下肢筋力低下,尿閉をきたして入院した.頸部・上肢の筋強剛と上肢ミオクローヌス,感覚性運動失調をみとめた.血清抗GAD抗体,抗TPO抗体,抗ミトコンドリアM2抗体,抗glycine受容体抗体が陽性であり,多腺性自己免疫症候群を背景に発症した,progressive encephalomyelitis with rigidity and myoclonus(PERM)と診断した.経過中,末梢神経障害が出現し,抗GM1抗体が陽性であった.本例は多様な抗体が病態に関与し,従来のPERMの臨床像を超えた多彩な神経症状をきたした症例である.