臨床神経学
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症例報告
記憶障害のみを呈しMR検査で脳血管障害が示唆された2例
賣豆紀 智美藤本 茂松木 孝之鈴木 聡石束 隆男北園 孝成
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2015 年 55 巻 3 号 p. 145-150

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抄録

症例1は77歳男性.一過性記憶障害を主訴に来院した.MRI拡散強調画像で両側海馬に点状の異常信号をみとめた.経食道心エコーで大動脈弓部に6.80 mmの複合粥腫病変をみとめ,大動脈原性脳塞栓症と診断した.症例2は66歳女性.一過性記憶障害を主訴に来院した.MRIで急性期脳梗塞の所見はなかったが,MRAで右後大脳動脈分枝閉塞とその後の再開通を確認し,一過性脳虚血発作と診断した.経食道心エコーで大動脈弓部に分枝におよぶ3.86 mmの粥腫をみとめた.急性発症の記憶障害の原因として虚血性脳血管障害を鑑別し,その原因として大動脈原性脳塞栓症を考慮することが重要である.

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© 2015 日本神経学会
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