臨床神経学
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メトロニダゾール誘発性脳症の1例―画像の経時的変化―
音成 秀一郎金谷 雄平竹島 慎一吉本 武史田中 朗雄栗山 勝
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2015 年 55 巻 3 号 p. 174-177

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抄録

症例は66歳女性である.脳膿瘍で排膿術施行され,以後はメトロニダゾール2 g/日を投与された.30日目より嘔気出現し徐々に悪化,45日目に昏迷になった.意識変容,軽度の前庭障害と構音障害をみとめた.頭部MRIは脳梁膨大部,小脳歯状核,脳幹部下丘にDWIおよびFLAIRで高信号変化を両側対称性にみとめた.脳梁膨大部のapparent diffusion coefficient(ADC)は低下,MRSで乳酸のピーク上昇をみとめた.メトロニダゾール誘発性脳症と診断し,同薬剤を中止し,症状は改善し14日目に軽快退院した.小脳歯状核および脳幹病変は,血管障害性浮腫と思われ5~10日目には消失したが,脳梁膨大部病変は細胞毒性浮腫と思われ40日目まで残存した.

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© 2015 日本神経学会
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