2015 年 55 巻 4 号 p. 254-258
症例は65歳男性である.無症候性高CK血症で12年の経過の後に筋力低下が出現した.臨床診断は肢体型筋ジストロフィーであったが,骨格筋MRIで異常信号域をみとめたことから筋生検をおこなった.筋病理は壊死性ミオパチーであり,抗signal recognition particle(SRP)抗体を測定し陽性が判明した.副腎皮質ステロイドに加え免疫グロブリン大量静注療法をおこない,筋力の改善がえられた.遺伝性筋疾患がうたがわれる症例の中に,本例のごとく免疫療法が適応となる抗SRP抗体陽性ミオパチーが潜在している可能性があり注意する必要がある.