臨床神経学
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症例報告
経鼻胃管挿入者にみられる両側声帯麻痺:nasogastric tube syndrome 4例の検討
櫻井 謙三田中 成明柳澤 俊之森 華奈子堀内 正浩長谷川 泰弘
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2015 年 55 巻 8 号 p. 555-560

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抄録

経鼻胃管挿入中に両側声帯麻痺をきたした脳梗塞2例,Parkinson病2例を報告する.症例はいずれも著明なるいそうを呈する高齢者であり,低栄養状態であった.経鼻胃管挿入後平均17.8日で両側声帯麻痺をきたし,3例は気管切開術を施行,全例で救命しえた.両側声帯麻痺の原因は多岐にわたり,臨床現場で厳密にnasogastric tube syndrome(NGTS)と診断することは困難だが,本症の可能性を念頭におき,適切に対処することが肝要である.自験例では低栄養状態や低免疫状態がNGTSの危険因子となりうる可能性を指摘したが,今後,危険因子や誘発因子,対処法について症例を重ね検討する必要がある.

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© 2015 日本神経学会
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