臨床神経学
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55 巻, 8 号
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総説
原著
症例報告
  • 葛目 大輔, 佐島 和晃, 今野 優子, 金子 恵子, 山崎 正博
    2015 年 55 巻 8 号 p. 550-554
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    [早期公開] 公開日: 2015/07/22
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性.2011年8月下旬嘔吐,ろれつ困難,筋力低下と頻呼吸あり.呼吸停止となり気管挿管実施,頭部MRIで脳幹から両側小脳半球に高信号病変あり.発症第7日目,当科に転院.神経所見は開眼しているが疼痛刺激に反応なく,毛様体反射,人形の目現象もみとめなかった.失調性呼吸あり.各種自己抗体陰性,髄液検査で蛋白細胞解離とミエリン塩基蛋白の上昇をみとめた.ステロイドパルス療法を実施後,意識レベルと四肢筋力が徐々に回復,人工呼吸器から離脱した.後日抗Gal-Cer IgG抗体陽性が判明した.抗Gal-Cer IgG抗体陽性の急性散在性脳脊髄炎の報告はまれである.
  • 櫻井 謙三, 田中 成明, 柳澤 俊之, 森 華奈子, 堀内 正浩, 長谷川 泰弘
    2015 年 55 巻 8 号 p. 555-560
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    [早期公開] 公開日: 2015/06/06
    ジャーナル フリー
    経鼻胃管挿入中に両側声帯麻痺をきたした脳梗塞2例,Parkinson病2例を報告する.症例はいずれも著明なるいそうを呈する高齢者であり,低栄養状態であった.経鼻胃管挿入後平均17.8日で両側声帯麻痺をきたし,3例は気管切開術を施行,全例で救命しえた.両側声帯麻痺の原因は多岐にわたり,臨床現場で厳密にnasogastric tube syndrome(NGTS)と診断することは困難だが,本症の可能性を念頭におき,適切に対処することが肝要である.自験例では低栄養状態や低免疫状態がNGTSの危険因子となりうる可能性を指摘したが,今後,危険因子や誘発因子,対処法について症例を重ね検討する必要がある.
  • 小倉 礼, 守吉 秀行, 中井 紀嘉, 西田 卓, 北川 諭, 吉田 眞理, 安田 武司, 伊藤 泰広
    2015 年 55 巻 8 号 p. 561-566
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    [早期公開] 公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    症例は53歳男性である.歩行障害・認知機能障害が半年の経過で進行し,頭部MRIで右後頭葉脳表の造影効果をともなうT2WI高信号病変をみとめた.脳生検でAβ関連血管炎(amyloid-β-related angiitis; ABRA)と診断した.生検後に痙攣を反復したため早期にステロイド治療を導入し,プレドニゾロン単独で良好に経過した.ApoE遺伝子型はまれなε4/ε2を示した.ε4はABRAでもっとも多くみられ,血管壁へのAβ沈着にかかわるとされる.一方,ε2は血管壁の破壊性変化や血管炎症のリスクとなりうる.本例ではε2の存在下に手術侵襲で炎症が惹起され,痙攣を誘発した可能性が考えられた.
  • 佐々木 拓也, 中山 貴博, 北村 美月, 角田 幸雄, 今福 一郎
    2015 年 55 巻 8 号 p. 567-572
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    [早期公開] 公開日: 2015/07/07
    ジャーナル フリー
    症例は55歳女性である.7年前に左顔面の異常感覚と右視床病変を生じたが自然消失した.1年前より右上下肢運動障害と両側基底核病変が出現・増悪した.続いて左後頭葉病変が新出し視神経炎も併発した.経過中,ステロイド反応性のぶどう膜炎を2度発症した.長期にわたる増悪寛解型の経過より当初は多発性硬化症などの炎症性疾患を考えたが,ステロイド治療の効果が不十分だったため脳生検を施行し,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断をえた.中枢神経原発悪性リンパ腫が一時的に自然消失することは知られているが,本例ほどの長期経過をとることはまれであり炎症性疾患との鑑別上重要な症例であると考えられ,報告する.
  • 森本 悟, 髙尾 昌樹, 櫻井 圭太, 砂川 昌子, 小宮 正, 新井 冨生, 金丸 和富, 村山 繁雄
    2015 年 55 巻 8 号 p. 573-579
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/08/21
    [早期公開] 公開日: 2015/06/18
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性である.頭痛で発症し,3ヵ月にわたって進行する認知機能障害,発熱および炎症反応の持続を呈した.頭部MRI画像で皮質および白質に多発性病変をみとめ,造影後T1強調画像にて脳溝や脳室上衣に沿った造影効果をみとめた.認知機能障害およびMRI所見が急速に進行したため脳生検を施行.クモ膜下腔に多数の好中球浸潤および多核巨細胞よりなるリウマチ性髄膜炎類似の病理像をみとめるも,関節リウマチの症状はなかった.各種培養はすべて陰性で,抗菌薬,抗結核薬および抗真菌薬治療に反応なく,経口ステロイド療法が奏功した.2年後の現在も寛解を維持している.
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