臨床神経学
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症例報告
下肢の異常感覚で発症したGerstmann-Sträussler-Scheinker病の1例
安藤 利奈永井 将弘岩城 寛尚矢部 勇人西川 典子野元 正弘
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2016 年 56 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

症例は68歳女性.2008年より両足底部異常感覚が出現.2010年頃より徐々に失調性歩行障害,体幹失調,両下肢筋力低下も認め,2013年には独歩困難に至った.2014年より認知機能が亜急性に悪化.神経学的所見,認知機能は評価困難だったが,腱反射は下肢で消失,Babinski反射は両側陽性だった.頭部MRI拡散強調画像で広範囲に大脳皮質の高信号域,遺伝子検査でP102L変異を認めGerstmann-Sträussler-Scheinker(GSS)病と診断した.GSS病は9割が歩行障害等の小脳症状で発症する.本症例は下肢異常感覚で発症し,経過中に小脳症状を認めた.発症6年後に認知機能が低下したことから初めて診断に至った.

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© 2016 日本神経学会
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