臨床神経学
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尿閉と便秘を随伴し,Fisher症候群にpharyngeal-cervical-brachial variantがオーバーラップした1例
坂井 利行近藤 昌秀冨本 秀和山岸 裕子
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2016 年 56 巻 10 号 p. 694-697

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抄録

患者は28歳女性で,先行感染後に全外眼筋麻痺,嚥下障害,構音障害,頸部と上肢近位部優位の筋力低下,運動失調,尿閉および便秘を呈した.抗GT1a抗体,抗GD1b抗体,抗GQ1b抗体,抗GD3抗体と抗GT1b抗体が陽性で,尿閉と便秘の自律神経障害を合併しFisher症候群にGuillain-Barré症候群のpharyngeal-cervical-brachial variantがoverlapしたまれな病態が考えられた.経静脈的免疫グロブリン療法(intravenous immunoglobulin; IVIg)後に尿閉と便秘は急速に回復し抗GQ1b抗体の力価のみが低下した.尿閉と便秘の発現に抗GQ1b抗体の関与が推定されIVIgの有効性が示唆された.

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© 2016 日本神経学会
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