臨床神経学
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短報
ミコフェノール酸モフェチルが有効であったintravenous immunoglobulin依存性純粋運動型慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの1例
荒井 元美
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2016 年 56 巻 10 号 p. 698-701

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抄録

症例は発症時75歳の男性である.四肢の筋力が2カ月間徐々に低下した.四肢の近位筋と遠位筋の筋力は徒手筋力試験で4,腱反射は消失していた.末梢神経伝導検査で両側正中神経と左尺骨神経に軽度の脱髄性所見がみられた.免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin; IVIg)の終了後1週間で筋力低下は消失したが,その後,再発を繰り返しその都度IVIgを行った.発症8年後に純粋運動型慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーの診断基準を満たした.シクロスポリンを使用してIVIgの頻度は有意に減ったが約8年後に腎障害が出現した.ミコフェノール酸内服では腎障害は悪化せずにIVIgの頻度が有意に減り,治療依存性再発の抑制効果がみられた.

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© 2016 日本神経学会
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