臨床神経学
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症例報告
遅発性に顔面筋力低下および味覚障害を合併したFisher症候群の1例
山本 大輔鈴木 秀一郎廣瀬 文吾山田 稔清水 将輝下濱 俊
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2016 年 56 巻 10 号 p. 684-689

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抄録

症例は55歳男性である.急性発症の複視,歩行障害を主訴に入院し,外眼筋麻痺,運動失調,腱反射消失からFisher症候群と診断した.発症第6日目から免疫グロブリン静注療法を施行し,外眼筋麻痺,運動失調は改善傾向にあったが,発症第13日目から味覚障害,第16日目から右顔面筋力低下を認めた.瞬目反射電位から右顔面神経の障害が明らかになった.自然経過で味覚および顔面筋力の改善を認め,第42日目には寛解した.Fisher症候群の約1割に遅発性顔面神経麻痺を合併するが,その病態機序は未だ明らかではない.遅発性顔面筋力低下に味覚障害を合併し,経時的に電気生理学的評価を行った貴重な症例である.

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© 2016 日本神経学会
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